高級ミニバンとして人気のヴェルファイアですが、その人気ゆえに盗難のリスクが高いことをご存知でしょうか。この記事では、まずヴェルファイアの盗難率はどれくらいなのか、盗難に遭いやすい車のランキングにおける位置づけを明らかにします。
また、盗難されやすいグレードと特徴や、盗難される理由と海外での人気といった背景を解説。さらに、CANインベーダーという最新の手口や、リレーアタックという巧妙な手口についても詳しく説明します。
その上で、おすすめの盗難防止策とは?という問いに、ハンドルロックなど物理的な対策から、GPSなど電子的な対策、そして万が一のための車両保険の重要性まで、あなたの愛車を守るための具体的な方法を網羅的に紹介します。
記事のポイント
- ヴェルファイアの盗難リスクの現状とその理由
- CANインベーダーなど窃盗団が用いる最新の盗難手口
- 自分でできる効果的な盗難防止策とおすすめの対策グッズ
- 万が一の被害に備える車両保険の重要性
ヴェルファイア盗難の現状と手口
- ヴェルファイアの盗難率はどれくらい?
- 盗難に遭いやすい車のランキング
- 盗難されやすいグレードと特徴
- 盗難される理由と海外での人気
- CANインベーダーという最新の手口
- リレーアタックという巧妙な手口
ヴェルファイアの盗難率はどれくらい?
ヴェルファイアの盗難リスクは、残念ながら非常に高い水準にあります。一般社団法人日本損害保険協会が毎年発表している「自動車盗難事故実態調査」によると、ヴェルファイアは常に盗難被害の多い車種ランキングの上位に位置しています。
2023年の調査では、車両本体盗難の車種別ランキングで第7位という結果でした。これは、兄弟車であるアルファード(第2位)や、ランドクルーザー(第1位)と並び、窃盗団の主要なターゲットになっていることを示しています。
年間で数十件もの保険金支払い事例が報告されており、これは氷山の一角に過ぎません。実際の被害件数はさらに多いと推測されます。この高い盗難率は、ヴェルファイアのオーナーにとって、決して他人事ではない深刻な問題であることを物語っています。
盗難に遭いやすい車のランキング
ヴェルファイアが盗難されやすい車であることは、他の車種との比較からも明らかです。日本損害保険協会が発表した2023年の車両本体盗難における車種別ランキングのトップ10は以下の通りです。
順位 | 車種名 |
---|---|
1位 | ランドクルーザー |
2位 | アルファード |
3位 | プリウス |
4位 | レクサスLX |
5位 | ハイエース |
6位 | クラウン |
7位 | ヴェルファイア |
8位 | レクサスRX |
9位 | ハリアー |
10位 | メルセデスベンツ |
このランキングを見ると、トヨタ・レクサスブランドの、特にリセールバリュー(再販価値)の高い高級車や人気車種が上位を独占していることがわかります。ヴェルファイアは、こうした「盗まれやすく、換金しやすい車」の代表格として、窃盗団から常に狙われている存在なのです。
盗難されやすいグレードと特徴
ヴェルファイアの中でも、特に盗難のターゲットにされやすいグレードには一定の傾向があります。窃盗団は、より高く、そして早く転売できる車両を狙うため、装備が充実した上級グレードが主な標的となります。
旧型(30系)で言えば、「Z”Gエディション”」のような、豪華な内装や先進安全装備が充実したモデルは特に注意が必要です。これらのグレードは、中古車市場での人気が非常に高く、部品単体でも高値で取引されるため、窃盗団にとって魅力的なのです。
また、海外で需要が高い2.5Lガソリンモデルも狙われやすい傾向にあります。ハイブリッド車は、一部の国ではメンテナンスの問題から敬遠されることがあり、シンプルな構造のガソリン車の方が好まれるためです。
エアロパーツや高価なアルミホイールを装着している車両も、部品取りの目的で狙われるリスクが高まります。
盗難される理由と海外での人気
ヴェルファイアがこれほどまでに盗難のターゲットとなる最大の理由は、その圧倒的な海外での人気と、それに伴う高いリセールバリューにあります。
特にマレーシアをはじめとする東南アジア諸国では、ヴェルファイアは日本国内以上の「超高級車」として扱われ、富裕層の間で絶大な人気を誇ります。現地での新車価格が日本円換算で1,000万円を超えることも珍しくなく、中古車であっても非常に高値で取引されています。
この国内外の価格差を利用し、日本で盗んだ車両を不正に輸出して売却すれば、窃盗団は莫大な利益を得ることができます。需要が高いため買い手もすぐに見つかり、短期間で換金できるという点も、彼らにとって好都合なのです。
つまり、ヴェルファイアの盗難は、単なるイタズラや乗り捨て目的ではなく、国際的な犯罪組織が関わる「ビジネス」として行われているケースが多いのが実情です。
CANインベーダーという最新の手口
近年の車両盗難において最も警戒すべき手口が、「CANインベーダー(キャンインベーダー)」です。これは、車の電子制御システムを乗っ取る、極めて巧妙かつ悪質な手口です。
#### CANインベーダーとは?
自動車は、エンジンやブレーキ、ドアロックなどを制御するために、CAN(Controller Area Network)という車内ネットワークで各コンピューター(ECU)が繋がっています。CANインベーダーは、特殊な電子機器をこのCANの配線に割り込ませ、不正な信号を送り込むことで、車両の制御を奪う手口です。
#### 手口の恐ろしさ
この手口の最も恐ろしい点は、スマートキーが近くになくても、また車を物理的にこじ開けることなく、ドアの解錠からエンジンの始動までを可能にしてしまうことです。犯人は、車のフロントバンパーの隙間などから配線にアクセスするため、従来のセキュリティアラームが作動しないケースも多くあります。わずか数分で車を持ち去られてしまうため、対策が非常に難しいのが現状です。
リレーアタックという巧妙な手口
CANインベーダーと並んで、スマートキーシステムを悪用した盗難手口の代表格が「リレーアタック」です。
#### リレーアタックとは?
スマートキーは、常に微弱な電波を発信しており、車がその電波を認識することでドアの解錠やエンジン始動が可能になります。リレーアタックは、この仕組みを逆手に取った手口です。
犯人は二人一組で行動し、一人が特殊な受信機を持って家の玄関先などでスマートキーの電波を拾います。そして、その電波をもう一人が持つ中継機に「リレー」のように飛ばし、車の近くで増幅させて発信します。すると、車は「正規のキーが近くにある」と誤認し、ドアのロックを解除。そのままエンジンを始動されて乗り去られてしまうのです。
家の中にキーを保管していても、玄関の近くなどに置いていると、その電波が屋外まで漏れ出て被害に遭う可能性があります。
ヴェルファイア盗難から愛車を守る対策
- おすすめの盗難防止策とは?
- ハンドルロックなど物理的な対策
- GPSなど電子的な対策
- 万が一のための車両保険
- ヴェルファイア盗難対策の総括
おすすめの盗難防止策とは?
深刻化するヴェルファイアの盗難に対抗するためには、単一の対策に頼るのではなく、複数の対策を組み合わせる「多層防御」の考え方が不可欠です。以下に、現在有効とされる対策をまとめました。
対策の種類
具体的な方法
期待できる効果
費用の目安
物理的対策
ハンドルロック、タイヤロック、車止めポール、ガレージ駐車
犯行に時間をかけさせ、犯行を諦めさせる視覚的な抑止効果
数千円~数万円
電子的対策
電波遮断キーケース、社外セキュリティシステム、GPS追跡装置
リレーアタックの無効化、不正な侵入の検知・威嚇、盗難後の追跡
数千円~十数万円
環境的対策
センサーライト、防犯カメラ、防犯ステッカー
犯行しにくい環境を作り、犯人を心理的に威圧する
数千円~数万円
経済的対策
車両保険への加入
盗難被害に遭った際の金銭的損害を補償する
年間の保険料による
Google スプレッドシートにエクスポート
これらの中から、ご自身の駐車環境や予算に合わせて、複数の対策を組み合わせて実施することが、愛車を守るための最もおすすめの方法です。
ハンドルロックなど物理的な対策
最新の電子的な盗難手口に対しても、原始的とも思える物理的な対策は非常に有効です。なぜなら、窃盗犯は「犯行にかかる時間」を最も嫌うからです。
#### ハンドルロック
ステアリング(ハンドル)に装着し、物理的に回転できなくする器具です。非常に頑丈な金属製で、破壊するには多大な時間と大きな音が発生します。外から見ても装着していることが一目でわかるため、「この車は対策されている」と犯人に思わせる視覚的な抑止効果が絶大です。
#### タイヤロック
ホイールに装着し、タイヤの回転を物理的にロックする装置です。車両を自走させることはもちろん、レッカーでの移動も困難にします。こちらも非常に目立つため、高い防犯効果が期待できます。
#### 駐車場での対策
最も効果的なのはシャッター付きのガレージに駐車することですが、それが難しい場合でも、駐車スペースの出口に車止めポールを設置するだけでも、簡単には車を動かせなくなり、有効な対策となります。
これらの物理的対策は、犯行のハードルを格段に上げ、窃盗を未然に防ぐための第一の防衛ラインとなります。
GPSなど電子的な対策
物理的な対策を突破された場合に備え、電子的な対策を組み合わせることで、さらにセキュリティレベルを高めることができます。
#### リレーアタック対策
スマートキーから発信される微弱な電波を遮断する電波遮断機能付きのキーケースやポーチにキーを保管する方法です。自宅では、金属製の缶などに入れるだけでも効果があります。これはリレーアタックに対して最も安価で効果的な対策です。
#### 社外セキュリティシステム
純正のセキュリティシステムを補強する、高性能な社外品のカーアラームやイモビライザーの導入も有効です。ドアのこじ開けや衝撃、車体の傾きなどを検知して大音量の警報を鳴らし、犯人を威嚇します。CANインベーダー対策として、OBDポートへの不正アクセスをブロックする機能を持つ製品もあります。
#### GPS追跡装置
万が一盗難されてしまった場合に、愛車の位置を特定するための最後の砦がGPS追跡装置です。スマートフォンアプリなどと連携し、リアルタイムで車両の位置情報を確認できます。すぐに警察へ情報を提供することで、車両が海外へ持ち出される前に発見・回収できる可能性が高まります。
万が一のための車両保険
どれだけ万全な対策を講じても、プロの窃盗団による犯行を100%防ぐことは難しいのが現実です。そこで、万が一の被害に遭ってしまった場合の経済的な損害を補償するために不可欠なのが、「車両保険」への加入です。
自動車保険には、対人・対物賠償などを補償する基本的な部分と、自分の車の損害を補償する車両保険があります。この車両保険に加入していないと、車が盗まれて見つからなかった場合、金銭的な補償は一切受けられません。
車両保険には、補償範囲が広い「一般型」と、範囲を限定して保険料を抑えた「エコノミー型」がありますが、車両の盗難が補償されるのは、基本的に「一般型」のみです。
ヴェルファイアのような高価な車の場合、保険料も高額になりますが、盗難による損失は数百万円にも及びます。愛車を守るための物理的・電子的対策と合わせて、経済的なリスクをヘッジするための車両保険への加入は、オーナーにとって必須の備えと言えるでしょう。
ヴェルファイア盗難対策の総括
ヴェルファイアは盗難被害ランキングで常に上位に入る車種
主な理由は海外での高い人気と高額なリセールバリュー
装備が充実した上級グレードが特に狙われやすい
最新の盗難手口はCANインベーダーやリレーアタック
CANインベーダーは車両の電子制御システムを乗っ取る手口
リレーアタックはスマートキーの電波を中継して悪用する手口
対策の基本は複数の方法を組み合わせる「多層防御」
ハンドルロックなどの物理的対策は視覚的な抑止効果が高い
スマートキーは電波遮断ケースに保管するのが有効なリレーアタック対策
CANインベーダーには純正や社外のセキュリティ強化が推奨される
万が一に備え、GPS追跡装置の設置も効果的
盗難による経済的損失をカバーするため、車両保険への加入は必須
車両保険は補償範囲の広い「一般型」でなければ盗難は対象外
シャッター付きガレージでの保管が最も確実な対策
日頃から防犯意識を高く持ち、対策を怠らないことが大切